縁 は 異 な も の
68歳の挑戦から”縁は異なもの”にタイトルを変更しました。
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パルフリー夫人
小説「クレアモントホテル」は、私が読んだ本の中では異色で、
いつまでも心に残る本でした。
イギリス人女性の視点から描いた老いがテーマの一冊です。

ホテルに長期滞在する一人暮らしの老人たち。
欧米では結構いるようですね。
それだけでも充分湿っぽい話なのに、書き手がイギリス人とくれば、
屈折した描写にうんざりさせられたのも事実です。

クレアモントホテル



ある雨の日に、パルフリー夫人が危なっかしい足取りで歩いていて、転んでしまいました。
どこからか現れて、優しく抱き起してくれたハンサムな青年。

これがきっかけで、2,3回青年と会うのですが、
青年から見て 
彼女は、深いしわが刻まれ、シミの浮き出た一介の老婦人以外の
なにものでもありません。

しかし、パルフリー夫人にとっては、
青年に淡い恋心を感じてしまうに充分なインパクトがありました。
甥っ子のために編んだセーターを青年にあげてしまいます。
青年はその場ですぐにセーターを着て、素直に喜んでいます。
彼女の気持ちが、青年に急激に傾いていく様子が分かる
鮮やかな描写です。

有り余っているわけではない自分の懐から、
5ポンドのお金を用立ててあげたことも。
青年の母親が病気になったといっては、
パルフリー夫人の50ポンドの虎の子が消えました。
青年も悪い人ではなく、50ポンドのお金は働いてあとで返しています。
パルフリー夫人の淡い恋心に水を差すものは何ひとつありません。

そんな彼女にとって、幸せな時期は長く続かず
再び転倒したのがきっかけで、死の床に臥せてしまいます。
たった一人だけ来てくれた青年の 温かくて大きな両手に
かさかさの手を包まれているうちに、生きる勇気が湧いてくるのです。
あら、私はまだこんなに元気だわ。
そうだ、甥に遺贈するお金をこの子に上げよう。
ぼんやりと薄れゆく頭に浮かんだ素晴らしい思いつきでした。

しかし、それを伝えることなく、彼女は死を迎えます。

青年は立ち上がり、時計にちらりと目を走らせて、
何事もなかったかのようにその場を去ります。
遺産は全額、甥っ子に受け継がれるでしょう。
クレアモントホテルでは、ほかの年寄りたちが、
今日のメニューはなんだろうかと、
思いを馳せる相変わらずの構図です。

パルフリー夫人の重大事とは無関係に
世の中はいつも通り動いています。

生を終えようとしている老婦人の心が、
こんなにも瑞々しい感情で満たされていたことを
いったい誰が想像したでしょう。

「クレアモントホテル」は、老境に入ったすべての女性に贈る
おとぎ話といっていいでしょう。


















コメント
おとぎ話
< 老境に入ったすべての女性に贈るおとぎ話、 とは
うまいこといいますね。

< 生を終えようとしている老婦人の心が、こんなにも瑞々しい感情で満たされていた
想像もつかない、そんな最期の姿があるのです。
枯れたしわだらけの手を握って、詩集を読んでくれるハンサムな青年がベッドの横にいる。なんと美しい場面でしょう。

老境に入った私ですが、夜に歩き始めました。
その散歩の途中で、私がバッタリ倒れるかもしれません。
万に一つ、ハンサムな若者が助け起こしてくれた、として
そして、家まで送ってくれた、として
近寄らなくなった孫の代わりを演じてくれる? なんてことは
絶対に起こりません。誓って言います、絶対にです。

嗚呼 ハンフリー夫人は小説の人であり、外国のおとぎ話に違いありませんね。
[2015/05/29 21:21] URL | ensachi #- [ 編集 ]

パルフリー夫人です!
すみません。間違いました <(_ _)>

独断と偏見ですが
今朝、樹木希林を迎えた’サワコの朝’を観ていました。
日本で映画化するならば、パルフリー夫人は樹木希林さんで制作して欲しいと思いつきました。
森繁久彌や向田邦子に通じる、困難を前にウフッと笑える可笑しさ。
その話をしていた樹木希林ならば、このパルフリー夫人をどんな日本風に演じるだろうと想像すると、ウフフと笑いがでてきたものです。
[2015/05/30 08:55] URL | ensachi #- [ 編集 ]

絶対ですか
それが、悲しい現実ですね。
正直なところ、
万一こんな事態になったら、私は気が重いです。
どんなにいいように解釈しても、
こっちと同じ思いを相手に求めることは無理な相談です。
ハンサムな青年が親切にしてくれるということは
先ず、オレオレ詐欺とか、そういうたぐいを
疑ってかからねばなりません。
淡い恋などと言っている場合ではありません。

せめて、気の利いた言葉の一つでも投げかけて
あれ、このおばあさん、わかってるじゃん、という目で
見直してもらえる、
その程度の幸運に出会えることを
毎日ひたすら祈っていることにいたしましょう。

[2015/05/30 16:02] URL | スマイル(*^▽^*) #- [ 編集 ]


スマイルさん 上手すぎる!
文章が流れるように 身体の中へ入ってきました(^o^)
ストーリーにあたたかみがあるのでしょうか、スマイルさんが自分の中ですっかり燃焼させて 自分なりの言葉に置き換えて下さったからでしょうか、
とても素敵な小説に巡り会えた気がしています。
幾つになっても恋心を持ちたいものです!

今日は職場のパン作り教室@旭製粉でした。

その前に実家に行き掃除 病院に母の薬を貰いに行って パン作りへ
焼きたてパンを持って父の施設へ 伸びた髭と爪を切って やっと帰宅… 道端で転ぶ時間も無い慌ただしさ(>.<)

ensachiさん~
壁は取り払った方がベターですよ(^o^)

これまでの人生 予定通りにいった事など僅かで、
思いがけないハプニングは結構あるものです♪ 
壁がなければそれに気がつく ベストセラーになった本はそんな内容だったかな。

母にもこの本勧めてみます。 
[2015/05/30 18:11] URL | まいど~る #/95gOgAk [ 編集 ]

最高の褒め言葉 恐縮です
褒められるのはとても嬉しい。
ありがとうございます。
まいどーるさんのような若い年齢のかたでも共感するのは
同じなのでしょうか。
もしお母様がお読みになってどう感じられたか、
是非、聞いてみたいです。

昨日はアクロバット的忙しさだったようですね。
そんな多忙なスケジュールがこなせるうちは、
パルフリー夫人の孤独や切なさとは無縁ですね。
職場の恒例パン作りは、いつまでも続けてほしい
とてもユニークなレクリエーション行事
だと思います。
いまだかつて見たことがなかった現在のボスも
パン作りが効いて
とうとうみんなの前に正体を現してくれましたね。
[2015/05/31 13:49] URL | スマイル(*^▽^*) #- [ 編集 ]

バルフリー夫人は幸せか
映画板をBSで見ました。
小説では、そういうストーリだったんですか。
品の良い老婦人があるきっかけで、親切なハンサム青年と知り合い
交流を深めていく。
特に大きな事件が起こるでもなく、
淡々と過ぎていく日々、
しかしそのなかで、老いというものを意識させられる出来事が、
周りにも自身にも起きる。
見終わって、なにかしっとりとした、
味のあるいい映画だった、と思いました。

ただ、日本では現実的でないホテル住まいや
おしゃれをしてディナーに出席したり、
パーティーで異性とのシャレた会話を楽しんだりと
自立を尊重される社会とはいえ
日本の高齢者のイメージとは随分へだたりがあるなあと
そちらのほうの興味も尽きませんでした。
なにもせず、優雅な毎日を過ごせて幸せそうですが、
私なら、
ごろごろしたい時には横になり、
たまにおいしいものを食べに行き、
気心知れた友達と何時間もおしゃべりをして
憂さ晴らしをする
そういうのが幸せといえるかなあ。

Ensachiさん、
バルフリー夫人、樹木希林さんではイメージにあいません。
彼女は演技派ですが、個性が強すぎ、
バルフリー夫人の上品さや
知性を感じさせるものを現せないと思います。
でも、彼女は、わたしも好きな女優のひとりです。
[2015/05/31 23:00] URL | ハナコのママ #- [ 編集 ]

ハナコのママさん、おはよ!
近頃、起床は5:30。
窓辺に立つと、こんもり茂った樟脳の木の緑が続き、清々しい朝です。

樹木希林さんではイメージが合わないですよね。
市原悦子さんが可愛く演じるかとも思いました。
敢えて個性派の樹木希林さんを採用するには、訳があります。
貴女がコメントで言ってくれたことなんです。
共感して、早朝からブログに向かってしまいましたよ!

< パーティーで異性とのシャレた会話を楽しんだり。。。。
< 日本の高齢者のイメージとは随分へだたりがあるなあと

バックグランドが違うホテル住まいという環境の中に、日本人がいたら、
その時々の受け止め方や、仕草はどんなでしょう?と想像してみました。

パルフリー夫人の上品さや知性は、人柄で表現してもらって
こんないい環境に居られることの幸せを感じながら、このストーリーに添ってもらいたい。
良い環境に居る幸せはあっても、老境にいる孤独や淋しさは免れないのです。

それらを演じられるのは、樹木希林さんだ。と閃いたのですが、いかがでしょう?


[2015/06/01 07:07] URL | ensachi #- [ 編集 ]

ハナコのママさんも映画を見て知っていたのですね
同じものを見ても
受け取める方の立場で、微妙に違ってくるのがわかりました。

ハナコのママさんにとっては、
この小説で、パルフリー夫人の上品さや知性は必須条件なんだと
なぜか感じました。

ensachiさんは、
老境にいるものの孤独や寂しさを読み取っていると思いました。

私はどんなことから読む気になったと思いますか。
甘くて切ない高揚感が味わいたくて本を読む気になりました。
私はすっかりパルフリー夫人に感情移入してしまって
青年に淡い恋心を抱くまでになってしまいました。
もうちょっとだけ、パルフリー夫人に長く生きてもらって
遺産を青年にあげてから死んでもらいたかったです。
まったく見舞いにやって来ない甥っ子は嫌いですから。

老境に入った女性に贈るおとぎ話と言ったのは
そういう思いがあったからです。





[2015/06/01 19:34] URL | スマイル(*^▽^*) #- [ 編集 ]


遅くなりましたが、母81歳の読書感想です。
普段 単行本を読んでいるため、今回の文庫本には悪戦苦闘したようです。 眼鏡が合わないので作り直そうかとも言っていました。

本はとても面白かったそうです。 主人公を自分にあてはめてみることはなかったそうです。
母は足も悪く 耳もとおいので、主人公にはなり得なかったのでしょうね…。
病気で亡くなった事に、100歳になって何も病気を患っていなかったらどうしましょう? 病気でも健康でも迷惑な話しよね…
   って
介護保険が所得により2割負担になるという役場の案内をうらめしそ~に見ながら話していました。
[2015/07/04 13:09] URL | まいど~る #/95gOgAk [ 編集 ]

まいど~るさんのお母様へ。
字が小さいから、読まれてお疲れになられませんでしたか?
面白かってよかったです!(^^)!

”めがねを作り直そうか”と仰ったお母様には、
若い頃の素敵な出会いが、沢山あっただろうと想像しています。
そんなことも思い出して、娘さんに話しちゃってください。
すでに
ご自分の楽しかった日々を重ねて、読まれていたかもしれませんね。

100歳になって何も病気を患っていなかったらどうしましょう?なんて
仰るお母様は、チャーミングでお上品な方ですね!
日本のパルフリー夫人のようです。
[2015/07/05 10:22] URL | ensachi #- [ 編集 ]

文庫本
確かに字が小さいですね。
実は私も不自由しています。
今は清水一行さんオンリーです
証券市場を舞台にした本を読み漁っています。
一番困るのが、
目が悪くなってだんだん読みづらくなってきたことですね。

100歳になって健康だったらどうしましょう、ですって?
まあ、おっしゃることがユニークですね。
こんな調子でお母様と話をするのは楽しいでしょうね。
是非100歳まで長生きして、
今度は120歳まで健康だったらどうしましょうと
言わせてほしいものです。
[2015/07/05 15:45] URL | スマイル(*^▽^*) #- [ 編集 ]


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